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12cm~越えられない距離~

第8章 1分の勝負

松木がフリースローラインを越えたくらいで、相手のディフェンスに阻まれた。

左右から二人に囲まれて動きの取れなくなった松木に、アキが後ろから助けに走る。

「さなっち!」

アキの声に振り向くも、ガードが固くパスが出せない。

「下に!」

アキの指示で、松木がバウンドパスを出した。

「さなっちナイス!!」

パスを受け取り、アキがゴールに向かいかける…と。

要さんがアキに付いた。

うわ、またかよ。

今いる場所から中に入らせないように、アキの動きを封じ込めた。

あと20秒!!

すると、アキが1歩後ろに下がり、ジャンプしてシュートをしようとした。

要さんもジャンプして、ボールを止めようと手を伸ばす。

するとアキが、要さんの目の前に自分の左手をかざし、一瞬気をそらした。

その隙に右手でボールを操ると、体を反らしながら要さんの手の間を通してシュートを打った。

ボールがゴールめがけて飛んでいく。

ボールの行方を追っていると

ガタン!!

大きな音がして、思わずそちらを見てしまった。

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