
溺れる愛
第12章 共犯
その瞬間、那津は勝ち誇った様な微笑を浮かべて
「どこを?」
『……いじ、わる…っ』
(わかってるくせに…早く…)
「言えよ、芽依」
『……真ん中……欲しい…』
顔を真っ赤にして、こう言うのが今の芽依には精一杯だった。
すると那津は、一瞬だけとてつもなく冷めた目つきで芽依を見やり
でもすぐに意地悪な笑みを浮かべて
「…これでお前も共犯だな」
と耳元で呟いた。
だけど今の芽依には、那津のその一瞬の表情を見る余裕は無く
ただこの言葉だけは耳だけで聞いていた。
(早く…触って……!)
頭には、これしかなかったから。
