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溺れる愛

第21章 波乱の合コン




「酔わせてみたいなー…」


『酔わせてどうするんですか。
面倒なだけですよ』


「そうでもないよ?
そのまま俺が貰ってあげられるし」


『…貰って頂かなくて結構です』


「どうして?俺、割と本気だよ?

芽依…」


『なっ…あの…え?』


芽依って…!

ついに呼び捨て…!


ていうか!

その誘うような上目遣いは辞めて欲しい…
ただでさえ綺麗な顔をしているのに
なんだか3割り増しに見えるんですが…!


私があたふた焦っていると
田所さんはふっと笑みを浮かべて小さな声で呟いた。


「なーんて…あんまりやりすぎると
那津に怒られちゃうな」


『…え?』



今…那津って言った…?

どうして…?

田所さんの上司で、社長である彼を
今、呼び捨てにした…?



「ふふ…知りたい?俺と那津の関係」



彼の妖しい瞳に、私は無意識にゴクリと喉が鳴った。


『…知りたいです…』


「じゃあ…少し抜けようか?」


田所さんに手を差し出され、それを取ろうとした時
横から先輩の声が聞こえてきた。


「芽依…?どこ行くの?」


『あ…先輩…』


どう答えようか迷っていると
田所さんが私の手を少しだけ強く引いて
それによろけた私は、彼の胸に顔を埋める形になった。


「彼女…少し酔ってしまったみたいなので
外の空気を吸ってきますね」


頭上からは、田所さんの声がする…。


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