溺れる愛
第22章 あの頃の君は
結局あれから、私は強引に那津の車に乗せられ
今は助手席で縮こまっている…。
運転している那津なんて見るのは初めてで
その横顔の格好良さに自然と顔が熱くなってしまう。
「さっき、誠司に何されてた」
『別に何も…ただお話してただけよ』
「ただのお話で抱き合うのかよ」
『それは…急にあんな事されて
私だって驚いたんだよ』
「あんな事って…キスでもされたのか」
『なっ!されてない!』
「本当はして欲しかったとか思ってんじゃねぇの?
あいつ、イケメンだし」
『そんなの思うわけない…』
どうしてそんな事言うの…。
私がそう思う相手は、那津しかいないのに…。
すると那津は、どこかイラついた様子で窓に頬杖をつきながら
片手でハンドルを握った。
その姿もまた嫌と言う程格好良くて…なんだか悔しい。
「…そんなに傷付いた顔すんなよ…」
『…だって…那津が意地悪ばっかり言うから…。』
「あー…悪かったから…その…
俺も焦ってたんだよ…」
『どうして?』