溺れる愛
第28章 あなたの深い愛に溺れていたい
「最初は俺も知らなくてさ。
あの女も義母の差しがねだった。
だから俺はその証拠を掴むために敢えて
あいつに気のあるフリをして油断させようとした。
そこから情報を引き出すために。
そこで輝之と既に婚約していた事を聞いて
義母に色々命令されている事も吐かせて。
あの婚約披露パーティーの時
俺は芽依を紹介する気でいたんだ。」
『えっ…私?』
「当たり前だろ。
俺はもうお前以外要らないって
何度言わせれば気が済むんだよ」
『そんな…言ってくれないと解らないわよ…っ』
「それは……義母に感づかれるとまずかったから。
芽依は下手に演技なんて出来ねぇだろ?
だから辛い思いをさせるのを解ってて黙ってた。
お前はあの女のせいで義母に存在を気付かれてたから
常に見張られてたんだよ。
だから俺は誠司に芽依を頼んだんだ。
すげぇ不本意だったけどな。」
そ…そんな事があったのね…。
私、何も知らずに那津の事を少しでも疑ったりして…
情けない。
『…ごめんね』
「…芽依が謝る事じゃねぇよ。
悪いのはうまく立ち回れない俺だ」