溺れる愛
第7章 勉強
『合宿に!?』
「お願い!マジで頼むよ新井!!」
今、芽依は教室のど真ん中で
同じクラスのバスケ部の矢田から必死にお願いされていた。
「この通り!!ほんと!マジで!!」
腰を90°に折って、頭の上で手を合わせて
必死に懇願する彼に、芽依は焦って返事をした。
『わ、わかったから!顔上げて…!』
皆の冷やかしの視線が痛い。
矢田は、ぱぁっと喜んだ顔をして
「ほんっとありがとう!!助かったぁー」
と大袈裟に胸を撫で下ろした。
(簡単に返事しちゃったけど…どうしよう!
今から緊張してきた…!)
矢田からの要求はこう。
【バスケ部の夏合宿の間だけ
マネージャーをしてくれ】
どうやら先輩命令らしく、それが俊哉によるものなのか
他者なのかは解らないが
そんな願ったり叶ったりな要求は
芽依を簡単に幸せな気分にさせる。
それと同時に、一つだけ不安が募った。
それは、学期末テスト。