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「再会」と呼べる「出会い」

第13章 ごめんなさいじゃ足りない

「大丈夫っスか?」

「うん…ギリギリ?」


差し伸べた手に重ねたその手の平は
悲しくなるほど冷たい。
そこに生気を感じないからだ。


「リョウちゃん
 少し くれない?
 …って 無理か」


無理


「すみませんけど」


特別な飯を与えるには
特別な事をしなければならない。

つまり





ハマりそうで怖いから

とは言えねぇ…。




なんとなく頬が上気してきたのを
隠すため、俺は次朗さんを担ぎ上げた。


なんかこれ
人攫いに見えなくもないような…


「ごめんねリョウちゃん」

「とりあえず
 清和さんのところでいいっスか?」

「うん  …本当に ごめんね」



…この謝罪は



「次朗さん
 本当のところは どうなんスか?
 俺は本音が知りたいです」


「…」


ミカへの正直な思い



「…」




俺は答えを 待った。





「…俺は」




「はい」





「抑えが利かなくなるのが怖い」






…そっか    そうなんだ







「そうっスか」







この人は
ミカの事を弄んだわけじゃない。


ギリギリの気持ちを
理性で抑えていたのだ。



…なんだよ

そこまでするほど
ミカが大事なのか





空が明るくなってきた。


*…*…*…*…*…*

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