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「再会」と呼べる「出会い」

第18章 冷 え

「あの
 ハルシオさんは平気
 なんですか?」

「今は隠土晴一だよ
 …平気って
 神鳥と付き合ってることか?」

「はい」


隠土先生は少し俯き、
小さくため息をこぼした。


「…なんて言ったらいいか」

隠土先生が苦笑した。


「平気じゃないのが
 本音だけど
 だからと言って
 どうする事も出来ないからな」

「…『先生』だからですか?」

「そうだな」



やっぱり
そこが大きな壁なんだよね。

何とかならないのかな。

思いあっててもダメなのかな…。


「ごめんな
 なんだかんだで一番
 迷惑を被っているのは
 佐伯なんだよな

 次朗が佐伯に一途な事に
 変わりは無いから
 そこは分かってやって欲しい」

「いえ 私は」

大丈夫、にしなきゃ。
隠土先生だってつらいんだ。
私なんて
まだ触れることが出来る。


「大丈夫ですよ
 なんたって元妻ですから!」

「ハハハ 心強いな
 俺よりアイツのこと
 よく分かってるもんな

 そうだ あの後
 子供が出来たんだって?
 その子孫が
 今生きているんだから
 時間の流れの凄さを
 実感するよ」

「昨日梅子さんに会いました」

「あぁ そうか
 凄いよな あの人
 百瀬も助けて貰ったんだ」

「はい
 私もびっくりでした
 取り憑かれていたなんて
 …納得というか
 申し訳ないというか」


エミの事を考えると
辛くなる。


「申し訳ない?」

「あの子は以前
 凄く大人しい子だったんです
 今とは全く正反対の
 清楚で優しくて
 どんな事にも一生懸命で
 
 変わったのは突然でした

 もっと話を
 ちゃんと聞いてれば
 こんなことに
 ならなかったのかなって」



後悔はいつも先には立たない。

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