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仰せのままに

第2章 有り難き幸せ

少し開けた、唇の隙間から

舌が入ってきて、

口内で、私の舌を探す。

見つかって、吸われたり、甘噛みされて、

必死になって応える。


頭がクラクラしてきた。

「キス、多分メイドん中で、一番上手いよ。」

ぺろっと濡れた唇を舐めて、妖しく言うから、

「光栄です。」

同じように返す。


「あいつに、こんなキスすると、酸欠になるしな。」


『あいつ』

親しげなその呼び名の、

その人のことを、私は聞けなかった。

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