
仰せのままに
第6章 Snow White
その日、和也様は、帰ってこなく、
次の日の、早朝。
ガチャ
という音で、
起きたての頭が覚めると、
急いで、玄関へと向かった。
「お帰りなさいませ。」
「…ん。」
笑うことも、
謝ることもなく、
ご自分の部屋へと、
向かっていった、和也様に、
私は、なんの期待をしていたのだろう。
「今日から、旦那様に使えてください。」
使用人会議の中、
私は、そう告げられた。
「承知致しました。」
なんとなく、分かっていた。
あんなことが、あった以上、
和也様は、私と関わることを、
最低限に押さえるだろう。
そんなことは、分かっていた。
けれど、
もう、
話すことも出来ないかも知れない。
そう思うと、自然と、
涙が頬を伝う。
