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LAST SMILE

第13章 お願いごと

「お願い?」


「うん。聞いてくれる?」


「・・・内容によっては」


「何それ。絶対聞いてよ」


「はいはい」






雪が降る。


しんしんと、静かに。


祐兎の金色の髪に、真っ白な雪が舞い降りて
たちまちその光り輝く色を隠す。


あたしはそのまま、
背中に顔をうずめたまま、口を開いた。




「あたし・・・
 あんたが笑えっていうから、笑うね」


「・・・ああ」


「泣かないで、笑うからさ」


「・・・ああ」







だから・・・。



だからあなたは・・・。







「だから・・・」











「あんたも笑って・・?」











「・・・・・」


祐兎は黙った。


黙ったまま、ゆっくりと夜道を歩く。


寒いのか、鼻をすする音が響いた。



「そんな怖い顔ばっかりしてないで、
 笑って」


「・・・・怖い顔って」


「あたしも笑うから」


「・・・」


「だから、約束。ううん。
 あたしからのお願い」





祐兎、





ねぇ、祐兎…。







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