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『……奏斗？どうかした？』




誰かに名前を呼ばれることがこんなにも嬉しいことだったなんて……




カナじゃなく、奏斗として見てくれている存在がいたことに胸が熱くなった。



隣から心配そうに見つめる瞳。



それだけで何故だか、空っぽだったこころが満たされた気がした。







｢なんでもない。

ありがとな、陽｣







カナを知らない陽の存在は、過去に押しつぶされそうだった俺を救ってくれた。