I'll be with you.
第16章 折りたたみ傘
「……でもじゃない。
最近、体フラフラしてただろ…
壁伝って歩いたりさ。
お前の病気の症状はほんとんど出てる」
「……なんで知ってんの…」
心は俺の頭を犬を撫でるように雑に撫でた。
「引っ越す前に、全部お母さんから聞いたよ。
カナちゃんをよろしくお願いします。って……」
「母さん……」
耳障りな音が鳴り響く白い部屋の中で、母さんが俺の名前を呼んでたのを鮮明に覚えてる。
だんだん目の前が真っ暗になって、何をしてるかさえわからなくなって、息ができないくらい苦しくて……
でも
” 奏斗、生きて……ッ!! ”
母さんが俺の手を握ってたことだけはずっとわかってた。
「……わかった。
でも、優には……」
「わかってる。約束は守るよ」
こころの何処かで、
もう、いいかなって思ってる自分がいた。