I'll be with you.
第17章 2度目の恋
『私の話を聞きなさい!!』
「……え?え、え?」
『私だってね!
わざわざ10円くらい返さなくてもいいじゃんって思ってたのよ!?
でも、どうしてわざわざ返そうとしたと思う!?
あなたがずっと頭から離れなかったからよ……!!』
たかが10円
されど10円
なんでもいいからあなたに会えるキッカケがほしかったのよ……
私が心を見てもこころが痛まなかったのも
優さんとお友達になれたのも
私の中でこの恋が終わってたからだったんだってやっと気付いたわ……
『傘を貸したのだって奏斗にまた会うためだったのよ……!!』
そしたらまた話せると思って……
でも……
『今度は何を貸したらいいのよ……!!』
もう、貸すものなんて何もないじゃない……
『……もう会えないじゃない…
奏斗は私じゃない人のところへ行くんでしょ…?』
「……っ」
10円を返そうとしたあの時……
奏斗を愛しそうに見つめた女性……
「……ごめん」
……わかってたよ
だって、奏斗は優しいもん……