I'll be with you.
第21章 前へ
「カナはそれで満足?」
さっきまで右手で回していた鍵はしっかり手に収められていて、心はまっすぐ俺を見つめた。
「…満足?」
俺を見る深い青の瞳
日本人離れしたその目は淋しげに見えた。
「自分のせいで死のうとしたから怖いのはわかる…
責任を感じるのもわかるよ。
でも…
本当にそれでいいのか?
カナだけが辛い想いをしてるんじゃないだろ……?」
ザワついた廊下に、鍵と鍵がぶつかる音がしなくなっただけなのに
俺の周りから一瞬にして音が消えた。
わかっていたけど
気付いちゃいけないものに気付きそうになって
俺はそっと視線を落とした。