I'll be with you.
第25章 不完全
「未来…?」
その声にハッとして、リビングの扉の方を見ると作業着を着た光輝が心配そうにこちらを見て眉を下げていた。
『お、おかえりっ!
今から唐揚げ揚げるから待ってね!』
そう言ってキッチンへと向かっていく私の後ろを光輝は付いて来る。
揚げ物をしている私をふわっと光輝が包み込む。
「…泣きそうな顔してた」
『ううん。大丈夫』
「大丈夫じゃない。」
私を抱き締める光輝の手にギュッと力が入って、安心する。
『…ねぇ、光輝』
「ん?」
『今、幸せ…?』
「幸せだけど、幸せじゃない…かな」
耳元から聞こえてくる光輝の声
『「 カナがいないから 」』