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I'll be with you.

第6章 祭り




まだ時間はあるものの、取られる前にと花火の場所取りをしていた。




中学の時来たきり来てねぇな……。



新しくなった道路や、事故防止の柵。



昔とは全然違ってた。



カナは二人分のお好み焼きを持って場所をとっていた俺の元に帰ってきた。




「四年でこんなにも変わるもんなんだな……」



カナも俺と同じ方向を見つめながら、少しだけ寂しそうだった。



その場に、男二人で虚しく座り込んで買ってきたお好み焼きを頬張る。



「あれ、カナ

俺が青のり嫌いなの知ってたっけ?」



カナのにはガッツリかかってる青のり。


俺のは一つもかかっていなかった。




「知らなかったよ。」



「じゃあ入れ忘れただけか。ラッキー」




気にも止めずお好み焼きにかぶりつくと、カナはふっと笑った。




「お好み焼き買ってるとき

……未来に会ったんだ」



「え?」



「” 光輝は青のり嫌いだから入れない方がいい ”って教えてくれた」





そうか……




最後にここに来たのは…





「そんな柄にも無く悩んじゃってさ。

コウはなんで未来を忘れられないと思う?」





次の恋をすれば前の恋は思い出になって


最後にはただの過去になる



誰かが言ってたな。そんなこと……



でも、俺は……




「忘れたことなんて一度もねーよ……」




優を想っているはずの俺が



未来を忘れられない理由





「本気で未来のことが好きだった。

違うか?」





違わない。






「……でも、コウは優のことが大切だった。

コウの初恋の人で、優の現状を昔から知っていたから” 守りたい ”と思うようになってた」




忘れていた筈の優への想い。



未来が俺の背中を押してくれたから





「俺…頑張んなきゃって思ってた……」





未来がくれたチャンス。



気付くのが遅すぎたけど、未来の言葉を思い出して心がいない2年間


奪う気で頑張ってきた。




「だから、心が帰ってくるって知った時、

俺は優に告白したんだ。」




心が帰ってきたら、きっと優は心を選ぶだろう。



わかっていたけど、どうしても……



言わなきゃいけないって使命感を感じてた






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