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「用意…」

パンッ
競技用のピストルの音が、秋空に響く。

「むぅくん、速い♡」

女子からの黄色い歓声も、むぅを見つめる蘭の耳には届かない。


負けず嫌いなむぅがライバル視していたのは、6歳も年上の次男たぁ。

そのため長男とぉに、

勉強も、運動も、

かなりスパルタに教え込まれた。


社会人となった兄たちは、今ではあまりむぅの相手はしてくれないが、

それまでの成長過程で仕込まれた兄たちのスパルタ教育のおかげで、

むぅは、勉強も運動も”出来る”部類だ。