仮彼氏。
第1章 疲れた。
「別に悪いなんて言ってないけど?」
向島が首をかしげた
「っ…と、というか!
なんでそんなこと訊くのっ!!」
「契約のため」
「…は?」
契約って、何???
「だから、俺とお前の契約」
「いや、意味分かんないんだけど」
「俺はお前の仮彼氏になる
お前は俺に処女を捧げる」
「…………え」
処女を、捧げる……!!!?
「待って、一回落ち着こ?」
「お前が落ち着け」
もっともなことを言われて言葉につまる
「向島が私の仮彼氏になってくれるのは分かる
私が頼んだわけだし…
…で、なんで私はあんたに処女を捧げなきゃなんないわけ!?」
「だーかーら、契約…」
「その契約って何なの!!」
「…お前さ、何の見返りも無しに誰かと付き合うわけ?」
「へ…?」
見返り…?