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手探りな絶望

第6章 溺愛


「すみません
待たせてしまって・・」



「いや、今
片付け終わったとこだから

で・・どうする?」




彼女は
チラッと
そばに居る寺田に
視線をやりながら

また
小さな声で答えた



「あの・・・」



「うん」



「藤沢さんのところで
待たせていただいても
・・いいですか?」



恥ずかしいのか
なんなのか
何度も
寺田を見る彼女を
見てると

寺田、あっちいけよ

と言いたくなったが
寺田は
気付いてないのか
俺の隣から動かない



「ちょっと
散らかってるかもだけど
いい?」



「あ、はい
あの・・すみません」



「つーことで
寺田、俺らはこのまま
帰るわ」



「了解了解
ほんじゃ、またね
佐々木さん

それから
こいつのこと
よろしくな」



そう言って
軽く
佐々木さんの肩を
ポンっとたたき

俺のみぞおちを
グーで
軽く押して
寺田はやっと
あっちに歩いて行った


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