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手探りな絶望

第8章 懇願


優しいなんて言われたら
尚更
エッチなんて
誘えない感じで

俺と冬実は
それから
日付が変わる頃まで
部屋でのんびり過ごした


その間冬実は
少しだけ
母親の話をして
まとまったお金が
必要だと打ち明けてくれた


冬実と
付き合うことは

いや

結婚することは
なかなか大変そうだと
正直思ったけど

俺は
冬実が
冬実の抱えてるものを
話してくれたことに


心の底から
満足していた



日付が変わり
俺は冬実を
送っていくことにした



部屋を出る頃
冬実には
笑顔が戻り

なんだか…

ホッとしているみたいだった



実は俺も正直
ホッとしていた


あの電話が気になってたからだ



…明日…うん
…わかってる…ひどい人…



こんな夜中なら
訳の分からない
ひどい奴とやらに
会ったりはしないだろう



とりあえず
部屋に鍵をかけるのを
見届けて帰ればいい



本当は
泊まって欲しかったけど。

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