手探りな絶望
第8章 懇願
俺は
その言葉で
体温が上がった
手に汗を感じて
俺は
冬実の手を握ることもなく
ただ冬実の後をついて歩いた
307号室
そう書かれた
プレートの前に辿り着くと
冬実がその307のドアを開き
また
さっきと同じことを言った
「どうぞ・・」
「・・う、うん」
彼女の部屋にくるのが
はじめてなんかじゃなく
半同棲みたいなこと
したことだってあるんだけど
なかなか
ココに招いてくれなかった
冬実の部屋は
何故か神聖な場所のように
思えて・・・緊張した
「・・お邪魔・・します」