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手探りな絶望

第10章 絶望


「久しぶりだなぁ
元気にしてたか?」



「えぇ…元気よ
退院したいくらい」



まるで…
他人のような
2人の会話


…元々、他人か…夫婦なんて。



「お母さん
お花買ってきたの
生けてくるね」


そんな2人のやりとりを
見たくなくて
私は花瓶を持って部屋を出た

廊下に出て
携帯OKのエリアまで
移動すると
私は急いで
ポケットから携帯を取り出し

画面を見た



今朝以降
周平さんからの連絡は


なかった



怒ってるよね



怒ってるに
決まってる



怒ってないなんて

そんなはずがない




また
あの文字を読みたくて


私は
周平さんから
最後に届いた
メールを画面に表示させた




『怒ってなんかないんだ
心配なんだよ

どこにいる?

お母さんは大丈夫?


冬実

冬実は
大丈夫?


もう一度
冬実に会いたいんだ


このまま
二度と会えないなんて
耐えられないよ

好きなんだよ
冬実

連絡
して欲しい


ずっと
待ってるから』




私も…


会いたい…




私の頬に
涙がつたい

その雫が
床を濡らした

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