手探りな絶望
第10章 絶望
しばらく
お母さんと話をしていると
お父さんが
ドアから
部屋をのぞき
「冬実、ちょっと」
と、声をかけた
私は
お母さんに微笑んでから
部屋を出ると
お父さんは
少し離れた場所の
喫煙所で煙草に
火をつけていた
「なに?」
「母さんと…」
「うん」
「3人で暮らさないか」
「はぁ?」
「しばらく
俺は仕事もねぇし
職安通いだ
母さんの面倒はみられる」
「何言ってんの?!
散々
今まで逃げてきたくせにっ」
「…あぁ…」
「……」
「後悔…」
「…え?」
「後悔しねぇように…」
「は?」
「藤沢の野郎…」
「意味、わかんないんだけどっ!」
「俺にも
わかんねぇ
なんか
狂っちまったんだよ
あの野郎のせいで…」