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手探りな絶望

第2章 派遣

「佐々木さん
頭上げてくれるかな

ちょっと…
恥ずかしいよ、俺(苦笑)」


なんか
俺、すげー悪い奴みたいじゃん


「あ、はい
あの…ほんと
私…すみません(苦笑)」


そんな顔…するんだ…


佐々木さんは
困ったような
照れているような
ハニカムような
なんとも言えない表情で

笑った




殴られて
泣いていた
あの女とは
別人のようで

なんとも不思議だ



「あの
すみません
今は手持ちがないので
お返しすることが
できないんですけど
月曜に必ず
お金、お返ししますから」



話せば話すほど
益々別人みてーだな

あの夜と違って
着てるものも
清楚で…



てか…



ものすごい色白



「あ、いや
あれはもう
気にしなくていいよ

返さなくていいって
あの時言ったし(笑)」




「そんな訳には…

お返しできなかったら
私、気になって
眠れません」



「あはは(笑)
眠れないんじゃ
仕方ねーな

ま、佐々木さんの派遣契約
終了するまで
会社でちょくちょく
会うことだし
精算しといた方が
気楽なら
受け取るよ」



「よかったぁ〜」



片手を
胸におき

安心した
穏やかな顔を見せる


とても

色白な


佐々木さん




あんなに
嫌悪していた女と
再会した今日




俺は
その女、佐々木さんが
気になりはじめていた

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