手探りな絶望
第18章 嫉妬
冬実の後を
ついて行くと
冬実は病院から外に出て
駐車場へと向かった
冬実の車が見えてくると
冬実はやっと振り向き
「車で…」
と、小さな声で呟いた
「うん、いいよ」
聞かれたくない話も
あるだろう
俺も
病院内の喫茶室じゃなく
車でよかったと思っていた。
冬実が
運転席に乗り
俺は
助手席に座った。
「お母さんは
何も知らないの
周平さんにしたことは全部
お父さんと私が勝手にしたことなの…」
「…そうか…」
「お姉ちゃんが
あんなことになって…
お父さんは
怒りや怨みみたいものを
ぶつけるところがなくて
いつの間にか
周平さんが
その的になってしまったみたいなの…
ちょっとした
勘違いから…」
「……」
「周平さん
苗字が変わってるから
お父さん
最初は周平さんが
織田くんだって
知らなかったらしいの
すごく…いい後輩だって
言ってたのよ
周平さんのこと
でも
周平さんが
織田くんだって
気付いてから
お父さん…変わってしまったの
周平さんに
復讐するんだって
言いだして…
それで
あんなこと…
本当に
ごめんなさい
周平さん…」