手探りな絶望
第3章 接近
とっさに
俺は車から降り
佐々木さんに声をかけた
「どーしたの?
すげーびっくりしたよ(笑)
車、なんかあった?」
車が故障でも
したのかと思ったんだ
「あ、いえ
違うんです
あの
あの、藤沢さんが
イヤじゃなかったら
あの…」
「うん」
「連絡先…交換とか…」
え…
君から?
正直驚いていた
あんなに
恥ずかしそうに
グラタンを食って
こんなに
消極的そうな
佐々木冬実から
連絡先?
「イヤなんてとんでもない
喜んで交換するよ
俺も聞きたかったんだけどさ
なんか…
イヤかなって思って
聞けなかったんだ
聞いてくれて
正直、よかった」
「よかったぁ…」
小さな声で
ホッとしたような
顔を見せる佐々木さん
それ
全部…演技か?
ほんとは
遊んでる女なのか?
どっちなんだ
どっちなんだよ
本当の
佐々木冬実は。