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手探りな絶望

第5章 寺田



そうは言ったものの

事あるごとに
何処かへ
電話をかける彼女が

気になって仕方がない



片付けをしながら
さりげなく
彼女に目をやると


彼女は
俺に背中を向けたまま
ベンチの向こうで


また


あの
赤いガラケーで
誰かと
話をしていた




あの



赤いガラケーで。




俺の知らない
番号の

ガラケーで…。

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