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ある日の会話で、春ちゃんが言った言葉がある。

【痛みは耐えられる。でも裏切りは耐えられない。】

ー私はこの時、裏切っていた。

だから、胸に深く突き刺さった言葉だった。


『今は付き合う気は無い』

と言っていた私だったが…

こ実はこの時、私は付き合っている人がいたのだ。

しかも、結婚する事が決まっても辞めるまで、春ちゃんを騙していた。

もちろん、まゆみサンに口止めされていたという事もあったが…

そして、春ちゃんに理由を告げずに、辞めて春ちゃんの前から姿を消した…



キャバ嬢や、接客においては良くある事かもしれない。

彼氏がいても、いない、と言う事。

中には結婚している人もいる。

別に私はその人たちを責める気は無い。

その人にはその人の考えや理由があったりする。

ただ、私は私個人で、あんなに想ってくれていた春ちゃんに嘘をついて、いわゆる『たぶらかす』ような事をしていたのが、とても罪悪感があるだけだ。


春ちゃんは、私を『気に入ってる』だけの他のお客様とは違う。

私に『本気』だった。



これまでの私だったら、こんな罪悪感なんて持たなかっただろう。

でも、優介との付き合いや、武との事、そして春ちゃんの真っ直ぐな『本気』が、私を変えたのだ。