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ワタシの履歴

第30章 命

私は本当に、もう本当にやめて欲しかった。

でも、お義母さんが近くに居る心強さがあるのか分からないが、龍平は北海道に来てから何事も強気だった。

飲み屋もなんだかんだ言いながら行くようになり、借金は減らない。

私はすぐに医療事務で働き出したが、そんな給料は気休めにしかならない。

もう、私の頭には【離婚】という文字が頻繁に出てくるようになって、心は複雑だった。

結婚生活は7年が経っていたが、将来を考えると、不安しかなかった。

でも毎日楽しく会話をし、手を繋いで寝て、行ってらっしゃいのキスとハグはずっとしていた。

情や依存が強かったかもしれないが、私はきっと龍平をちゃんと好きだった。


4月下旬の事だ。

拡がってきた黒い雲は次第に大きくなっていき、ソレは徐々に歩き出していた。

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