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ひまわりのキミ。

第6章 愛しいきみ。1

中学からずっと一緒にいた。

その時から、あいつを、夏子を好きだったのかもしれない。



中学の夏子は、今より少しだけおとなしくて、第一印象は『何あいつ』だった。

その思いから、『好き』に変わっていったのは、中2の初め。

俺は、夏子とまた同じクラスになった。

1年と変わらず、おとなしい。

隅っこでぽつんとしている夏子を、自然と目が追っていた。


気にしてるうちに、あいつの素性が分かってきた。

まず、友達が少ない。

いるのはいるけど、オタクみたいな奴とかばっか。

そんな奴の中でも浮いてる。

いわゆる、『ボッチ』ってところだな。

俺は真面目にそう思った。

きっと人見知りなんだろう。

昔から人付き合いが良い俺は、なぜか夏子と仲良くなりたいと思った。


だからある日、俺は思い切ってあいつに話しかけてみたんだ。



『日向さん、何それ?』

その時夏子は本を読んでいた。

一瞬の沈黙があったあと、顔をあげて驚いた表情をした。


「面白いの?」


《プリンの味の研究》とかいう、『そんな研究してどうすんの』って思う本をじっくり読む夏子に、俺は敢えて聞いてみた。

夏子は戸惑っていたけど、


「えっ、と…。う、うん…。すごいおもっ、面白い…」


「よ」で頭を傾けた夏子の前髪が、その拍子で揺れて顔がハッキリと見えた。


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