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顧みすれば

第12章 砂漠の檻


「ロイドはどうやら本気らしい」


改めて私を見つめる。

「実は数年前に来日したことがあって
 どうも、どこかで佐々木さんに会っていたらしいんだ。

 今回急遽君がアラブに来ることになったのはロイドからの強い要望があったんだ。

 俺は何度も断った。

 そしたらアイツ、日本に発注しないと言ってきやがった。
 公私混同も甚だしいよ。
 しかもここはまだ女性の安全を確保できない国。
 最後まで悩んだが俺も結局はビジネスマン

 君の安全を確保するという条件で
 三住の社長に頼み込んだよ。」


「どういうこと、ですか?

 私はロイド王子にお会いした覚えはありませんが」


「俺もよくわからん。

 でもロイドは君をずっと探していたらしい

 今回のプロジェクトももちろん国のためなんだろうが、君に繋がる情報を得て依頼してきた向きがある」


まったく意味が飲み込めない。

一国の王子が誰かもしれない日本のOL を必死に探していたなんて。

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