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顧みすれば

第12章 砂漠の檻

「殺したければ 殺しなさい」

私は静かに言葉を発した

「殺されるのが怖くないのか」

バドル王子は面白がっているようだ

「どうせ世間的にはもう殺されているんでしょ
 だったら貴方の玩具として生きるより
 本当に死んだほうがまし

 そのナイフで一思いに刺してくださらない?」


バドル王子が一瞬驚きの目を向ける

「次期王たる私のハレムに加えてやるのだ
 名誉だと思わんか」


もうこれ以上男の玩具として生きていくのはごめんだ。
しかも自分は死んだことになっている。
ここからもこの男からも逃れられないのなら
いっそのこと終わりにしたい。


私はバドル王子の顔に唾を吐きかけた

「な、何をする無礼者」

驚いたバドル王子は思いきり平手を浴びせてきた


バシッ バシッ バシッ


「王たる私に歯向かえると思うな」

バシッ バシッ バシッ


私の頬はヒリヒリと痛みだし
唇からは血の味が滲む

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