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顧みすれば

第13章 HERO

昨日、直哉が急遽帰国すると報告に来た。

日本のプレゼンは終わっていたので問題はないが、彼女たちの会社は飛行機の都合で
帰国は3日後だと聞いた。


「ロイド、くれぐれも彼女の身辺から目を離さないでくれ。

 今回のプロジェクトはどこの国も必死で取りに来ている。
 この国のエネルギーを確保できるチャンスだからな。なりふり構わない国もある。
 他の王子に金を積んでいる国も少なくない。
 他の王子から見ても王位を狙えるチャンスだからな。


 ロイド、悪いが君は既に汚点を作ってしまっている。相手に付け入るチャンスをやってしまったんだ。


 心してかかってくれよ」


直哉の言っていることはもっともだった

自分は私欲のために彼女を危険なめにあわせている。敵に的を晒しているも同然だ。

「なぜだロイド、なぜ彼女にこだわる。
 聡明な君がこんな過ちを犯すとは思わなかったぞ」

「すまない。自分でもわからないのだ。
 彼女を前にすると理性が利かない」

私はガックリと項垂れた。

「とにかく彼女をちゃんと守ってくれ。
 でなければ俺の立場も危うい。
 今回はかなり無理をして連れてきたんだからな。

 もし彼女に万一のことがあれば
 俺はもちろん、
 日本はこの国からすべて手を引くぞ」

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