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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

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俺はずっと彼女の手を握り続けた。

来る日も来る日も病室へ向かい

彼女が目覚めるのを待ち続けた。


俺がロイドの申し出を断っていれば

こんなことにはならなかった。


後悔しか見いだせなかった。


彼女の体に残った痛々しいまでの無数の傷。

顔に傷がつかなかったことがせめてもの救いだ。


俺は自分の気持ちが解らなかった。


彼女に近づきたいのに近づけない。


俺は年甲斐もなく恋をしてしまったのか。


そして、本気の恋愛をしたことがない自分は恋の仕方が分からない。
愛の伝えかたが分からない。


彼女に嫌われたくなくて
彼女から逃げた。

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