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顧みすれば

第18章 穏やかな時間

廊下を慌ただしく走るナース

さっきまで私がいた部屋に駆け込んでいった


「先生!大変です!すぐに来てください。

 彼女の出血が止まりません」


「なに?」


「流産かと」


ナースは声を押さえてドクターに囁く


ドクターも部屋から駆け出してきた。


私に気付いたドクターが足を止め真剣な表情になった。


「ロイド王子
 
 ご家族に承諾書をいただかなければなりません

 すぐに連絡をつけてください」


「承諾書?」


私は意味が飲み込めなかった。


「はい。かなり危険な状態になるかと。

 子宮摘出で済めばいいですが。

 妊娠していたようなので体の血液がほとんど子宮に集まっています。

 彼女の子宮がどの程度の傷を負っていたかわからないので何とも言えませんが、その傷からの出血も同時に始まってしまったら予測がつきません

 彼女はつい最近まで意識を失っていて体力も筋力もない。

 どこまで持ちこたえてくれるか...」


「彼女はどうなる?」


「緊急オペに入ります。

 輸血と摘出の手術を行います」


そういって彼女の病室へと走っていった。

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