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顧みすれば

第21章 彼女の秘密

女将はそこまで話すと

ふっと口を閉じた。


大人たちに重苦しい空気が流れる。




「その先は私が話そう」



直哉の父上が女将の肩を優しく押さえた。




「彩月の話の通り


 私は自宅の隣に彩月夫婦の家を用意した。

 私は日本の大学を卒業してからオックスフォードへ行ったので、帰国後間もなく結婚した。
 彩月のことももう吹っ切れていたしね。

 しかし、彩月への償いは私の胸にはいつもあったからね。何かあったら頼れるように隣に家を用意した。

 男女の友情は妻にはなかなか理解し難かったようで今でも彩月との仲を疑われている始末だが。


 自宅と言ってもほぼ週末しか使ってないような家だったが、
 紗英ちゃんが産まれると
 大女将も住むようになり、
 使用人も増え大分賑やかになったよ」

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