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顧みすれば

第3章 プロジェクト プロローグ

社に戻るとフロア全体が慌ただしく蠢いている。

企画書を練り直すチーム
図面を作るチーム
資材の確保、工場のラインを確保するチーム
子会社に納期、人材確保を確認するチーム
全体の資料を集めて
プレゼンを詰めるチーム

フロアではアラビア語や英語も飛び交う


さすがに国家プロジェクトだけあって
動き出したらものすごい波になって
飲み込まれそうだ

暫く呆然と立ち尽くす私に
課長が鋭く声を掛けてくる

「佐々木!ぼーっとしてる場合じゃない。
 このプロジェクトでお前は俺付きだ。
 俺がいないとき、俺のフォローをしてもらう。
 来週の会議にも出てもらうから準備しておけ」

「は、はい!」

‥‥えっ えーっっ?! それは、困る!

でも、断れる雰囲気じゃないし
知らぬ存ぜぬ
ただの、三住製作所の社員を貫き通すしかない!
どうせ、私だなんて分からないんだし♪

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