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顧みすれば

第31章 旅立ち

「おじさま、ごめんなさい。

 直哉さんを受け入れることは

   無理です」


おじさまはコーヒーを一口飲んだ。


「いいんだよ」


「え?」


おじさまはゆっくり私の目を見た。


「長い間苦しめてごめんな。

 紗英ちゃんやっと直哉を拒絶することが

 出来たんだね。


 それで いいんだ

 その普通の感情が現れるのを

 待っていたんだから」


「おじさま...」


驚く私におじさまは微笑む。


「大丈夫。

 紗英ちゃんは紗英ちゃんの

 幸せを見つけなさい


 もう、直哉に囚われてはいけないよ」


「おじさま...」


「直哉だってもういい大人だ。

 少しすれば自分の道くらい見つけられるさ」


おじさまはゆっくり頷いた。



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