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顧みすれば

第32章 もう一度 

「やっと、やっと

 紗英にふれることができた」


さらに力を込めて抱きしめられる



「直哉さん苦しい」


少し力を緩めてくれた



「もう、離してって言わないね」



直哉さんが私の顔を覗きこむ。



「なんだかとても心地がいいの。


 ずっと抱きしめていて」



驚いた直哉さんがさらに私の顔を覗き込む



「恥ずかしいから見ないで」



その反応にも驚いて、


直哉さんはもっと顔を近づける


「だから、見ないで」



「いやだ、見ていたい

 俺に抱きしめられて恥ずかしがる紗英を


 ずっと、ずっと見ていたい」


そしてわたしの顎を持ち上げ


愛おしそうに私を見つめる。




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