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顧みすれば

第33章 ひとつに

地中海からの風を受け

白いレースのカーテンがはためく。



シェスタで静まり返った街に

甘い愛の吐息がかすかに聞こえる。



「紗英...紗英......」


直哉さんは


愛しむように



私の名前を呼びながら



身体中に唇を寄せる。



まるでやっと手に入れた


宝物を確かめるように...




ときどき唇を求めては



ほとばしる想いを吐き出すように



激しく舌を絡ませる。



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