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顧みすれば

第38章 愛の行方

「奈々はそれを一人でやってるんだから

 えらいな


 私、贅沢だったかも」



「その奈々の愚痴を毎日聞いてる


 俺のことも誉めてほしいな。


 部屋が散らかってても文句も言わない


 素敵な旦那だと思わない?」



石田さんがシャワーを浴びて出てきた。


「もちろん感謝してるわよ


 でもあなたも父親なんだから当然」


「まったく 毎日この調子だよ


 少しは俺のことも誉めてほしいな」


石田さんがちょっと不満げに言う


「ふたりともいい夫婦ね」


「日本にいるときはもっとギスギスしてたわ

 育児ノイローゼにもなりかけた。

 でも、ここへ来てから

 周りは知らない人ばかり

 お互いを頼らないとやっていけないの


 だから言いたいこともちゃんと言って


 なるべくストレス

 貯めないようにしてるんだ」


そうか...



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