覗いちゃダメっ
第7章 マンションの住人宅で
花「…紗耶香が教えてくれた…紗耶香は
拓海さんから聞いて…」
功一「拓海の奴…」
花「別に気にしないからいいよ」
功一「は?」
花「私も本命いるし、恋に敗れた者同士
惹かれ合っただけだし」
功一「何が恋に敗れただよ…お前と一緒
にするな」
花「だって…」
功一「俺は敗れてなんかいない、敗れる
以前に…」
花「敗れる以前に、何…」
功一「…何でもない」
花「…」
冷静な功一が
かなり取り乱していた
その様子から本気で想ってる事が伝わっ
てきた
義理とはいえ
自分の妹が好きなのだと…
功一「…」
花「…」
タイミング良く
エレベーターが5階に到着すると
功一は逃げるようにエレベーターを降り
一度も振り返る事なく
部屋へ入った
花「…」
その日以来
功一と会う事はなかった