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男子寮

第11章 水樹×楓哉 想い



2年前―――――――



たまたま椿とは寮室が同じになった。

『あの…ひゅ、じゃなくて、泉堂くん』

泉堂(センドウ)とは、俺の名字だ。

『名前で呼べば?』


名字で呼ぶことに違和感があるのか、何度も言い直す椿に、俺は名前で呼ぶことを進めた。


『あ、うん。ありがと』


椿はニコッと笑うと、ホラー映画を見ていた俺の隣に座った。


『髪、乾かせば?』

風呂上がりの椿の髪はまだ濡れていて、いくら夏といえど風邪を引かれては困る。

しかし椿は、

『俺、ドライヤー苦手でさ』
『は?』

そんな人初めて…。


しかし、さっきから鼻を啜る音やくしゃみが止まらない。


『ハックョン!』
『おい、大丈夫かよ』
『やっぱ乾かそっかな?』


椿はそう言い残すと、ドライヤーで自分の髪を乾かし始めた。




が…。




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