秘密の時間は私のもの
第8章 藤塚亞
俺は、モテる
そう確信をしたのは保育園も年長に差し掛かった頃。
俺が歩けば同年代は俺を見たし
どこの誰のお母さんともしれない人に
手作りだという色んなものももらった。
それだけのことをされれば確信しても仕方ないと思う。
されどたかが保育園児。
“好き”と言っても
『将来、私が亞くんのお嫁さんになるー♡』
くらいのものだったけど。
それでも好意を向けられることを嬉しくは感じていた。
月日が流れ、年齢を増す事にその言葉には色がつき
しっかり重みを増していった。
おかげで、小学高学年のときは下駄箱や机の中に
必ずラブレター類のものは入っていたし
学校終わりの呼び出しも当たり前だった。
バレンタインにチョコに埋もれるなんて日常茶飯事のことだった。
保育園の頃より成長したその気持ちをぶつけられる度に
俺は、確実に自分に自信がついていった。