テキストサイズ

浮気断定社

第5章 追い詰める

泣き崩れていた佐和子が

フラフラと夫に近づき

そっと抱きしめた。



夫の頬に一筋の涙が伝う。



佐和子が小さな声で呟いた


「あなた

 あなたはなぜこんなこと。

 あなたが望んでやったの?」


 床を見つめたままの夫が

 涙をポロポロとこぼしながら

 力なく答える。


「こんなこと、望んでなんかやるものか。


 結婚して8年。

 なかなか給料も上がらない。


 リーマンショックから
 ボーナスもなくなった。


 家計簿を見ながらため息をつく君に

 自分の不甲斐なさを痛感させられて。



 君を幸せにすると誓ったのに



 それなのに、それなのに現実は...



 君ひとり満足に養えないなんて。」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ