愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
「藍!」
不意に名前を呼ばれて振り返る。
清掃中だというのに、真面目に掃除する者は少なく、そしてその中の1人が私。
亜洲河高等学校の1年生。
私、亜佐美藍は学級委員長を務めている。
「何?」
ふざける男子を横目に、親友・佐々倉未央の声に応える。
長いポニーテールと、少しつった目尻が特徴。
彼女は勉強は苦手だけど、運動はお手の物。
勉強が出来ても運動が出来ない私からしたら、凄く羨ましい。
「あのさ、合コン行かない?」
その突然の誘いに、私は「え?」と間抜けな声を出した。
今思えば、これが事の発端だったと思う。