
愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
ついにその日はやってきた。
お気に入りのワンピースを着て、私は未央とあか姉とそのお友達と、会場へ向かった。
お店に着くと、そこにはもう男子の姿が。
男子っていうのはちょっと違うかもしれないけど、20代前半くらいの男の人が3人そこに座っていた。
もう1人は…どうしたんだろう?
「あ、来た来た」
「どうもー」
軽い挨拶を交わす皆とは違い、ペコっと頭を下げるだけの私。
悪い印象がついてしまうかもしれないけど、それは関係ない。
あくまで私は人数合わせなのだから、緊張せずにリラックスしよう。
「じゃ、自己紹介する?えーっと俺は―――…」
自己紹介。
その単語を聞いた瞬間、一気に顔が青ざめて、手が震えるのが分かった。
頭の中でシミュレーションしながら、手のひらに『人』と書いて何度も飲み込む。
