
愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
一瞬しーん、とした空気が流れた。
その沈黙を破ったのは、トイレから帰ってきた1人の黒髪男子。
「ぷっ。はははっ!ぷぷ」
お腹を抱えながら爆笑するその人は、他と違ってもう少し若いように見える。
「…浅桐先輩っ!?」
ガタン、と勢い良く椅子から立ち上がったのは、未央だった。
状況が読めない私達は、ただポカンと口を半開きにしていた。
そして、未央の言う“浅桐先輩”は、私を指差した。
「やっぱいいわ、お前」
「…へ?」
私は、この人の標的となってしまったようだ。
…“やっぱ”ってのが気になるけど…。
