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闇夜に輝く

第15章 営業中のトラブル


海斗はカウンターの客にサービスビールを提供し終わり、フロアへ戻る。
大きく深呼吸し、全体を見渡す。素早く各テーブルにどんな交換物が必要か確認。
そしてそれぞれの卓の大まかな次の延長確認の時間を頭の中で整理し、腕時計をチラリと見る。

そのタイミングで、交換物を終えた山田君がそばを通ったので海斗は口頭で呼び止めた。

基本的にホールの人同士の会話ではインカムは使わない。
インカムを飛ばすのは全黒服に必要な情報のみ。
例えば延長の有無、フロントからの来客報告、オーダーや場内指名をもらった時など。
逆にこれらの情報は必ずインカムを飛ばさなければならない。
そうして必要な情報を共有し、不必要な情報を排除していかないとトラブルの元となる。

「山田君、交換物は秋山さんにある程度任せて、キャストのリクエストコールに対応するのを優先してもらえる?」

「はい。わかりました」

「ホール係同士でなるべく同じ動きをしないようにね。それから、忙しのは分かるけど、ニーダウンを忘れないように」

「あ、はい。気を付けます」

「忙しくて大変だけど、あと一時間くらいで一旦落ち着く筈だから、頑張ろう」

「はい!」

リクエストコールの意味はキャストが客席からボーイを呼ぶ事で、ニーダウンはボーイが客席で膝をついて何かをする行為。
忙しくなり視野が狭くなると、リクエストコールに気づかなかったり、ニーダウンが疎かになったりしがちになる。

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